本能バースト演劇「sweet pool」スプステ感想/「どうか、生きてください」

 

 うまくまとめられないけれど、千穐楽を終えて自分が観た公演を振り返ります。

 私はsweet poolが大好きで、sweet poolのことを大好きな人のことも大好きで、sweet poolに関わってくれたすべてのひとのことが大好きだ。

 ※ほとんど怪文書のたぐいです。備忘録。

 ※自己紹介:ニトキラ育ちバドエン好きなやつ大体友達

 

 

 ■初日 3/12(土) 哲雄ルート

 sweet poolをプレイしていた日々のことをすべて思いだした。

 学生のときの私がなぜいちごミルクを飲んでいたのか、なぜオム焼きそばパンを探していたのか、すべてを……思いだした……。

 しょうじき、初日の時点では脚本が良いのか悪いのか舞台が良いのか悪いのかの判断ができなかった。判断できなかったけれど、私はすべてを思いだした。私がsweet poolをプレイしたのは10年近く前で、10年前の気持ちを抱えたまま舞台に行った。初めてプレイしたBLゲームがsweet poolで、一番好きなBLゲームもsweet poolだった。この10年、sweet poolは私の半身ともいえる存在であり、この10年、たとえば5月になれば哲雄と蓉司の幸福を願わずにはいられなかったし、電車のホームの向こうには蓉司がいる気がした。原作が設定としては現代の学生物ということもあり、折に触れてsweet poolのことを考えていた。

 みずからの半身ともいえる作品が舞台化するというのは嬉しくもあり、怖かった。だって10年抱えてきてしまったのだ。sweet poolをプレイしたころのまだ10代後半の不安定さだとか、将来への不安だとか、生まれてこなければよかったという気持ちだとか、そんな気持ちは20代後半になっても完全には消失せず心の中に飼ったままでいる。

 だから、怖かった。舞台と対峙することが怖かった。スプステと対峙することは10代のときに心に閉じ込めた自分の感情と向き合うことと同義だからだ。心の檻で安全に飼い慣らされた10代の情動が、暴かれてしまうことが怖かった。

 初日はとりあえず踊る村田充さんをペダステぶり(2014年……?)ぶりに観られて嬉しかった。

 あと学校の噂話のときの声は宇野さんだそうです。

 

 

 ■3/13(日) 善弥ルート

 最前で善弥ちゃんを浴びて美の暴力に気が狂った。

 ※この回から私の本能がバーストしていきました。

 初日の消化しきれない思いを抱えたままだったのだが、席が最前だったのでラッキーくらいの気持ちで観たら、あの、宇野さんの善弥……善弥ちゃんって本当に生きているんだ……。

 もうとにかく美の洪水っぷりがすごく、初日にも宇野さんの声が聴きとりやすくて好きだなあと思ってはいたのだが最前で観てしまったらもう、ものすごかった(語彙力の喪失)

 善弥ルートは公演時間が短いということもあり、実はあまり期待をせず行ったのだが、宇野さんの善弥ちゃんが本当に善弥ちゃんで、ああ善弥ちゃんが生きていたらきっとこう生きたよね、そしてこの美形っぷりだよねとすべて納得しながら観た。

 善弥ちゃんのお箸の持ち方が好きで、姫谷との眼帯のシーンで最後にチャックを上げて帰っていく(!!!)善弥ちゃんが好きで、宇野さんの善弥への解釈がすごかった。

 私はバンギャなのだが(突然の自己紹介)この回のカテコ挨拶で宇野さんが話しているとき杉江さんに「そうやって話していると(宇野さんが)ヴィジュアル系バンドの人みたいだよね~」というようなことを言われており、まじでそう。と思った。宇野さん自身がもともとバンド(ヴィジュアル系ではない)をやっていたかただそうで、バンドマン然とした歌舞きかたってあるよねと思った。超好き。

 宇野さんの善弥まじでたまんねえ。愛されたいのに愛されなくて姫谷から大事にされていることも受け入れようとしていなくて、ほんとうにかわいそうでかわいくてすばらしい。

 善弥エンドって監禁お人形エンドじゃないですか。監禁お人形エンド、ニトキラのサビなんだけど笑、宇野さんの善弥ちゃんはほんとうに美しくてかわいらしくてかわいそうで、愛されたくて愛したくて普通に生きていたくてそれが全部うまくいかない、奇をてらった振る舞いをしてもどこか高校生ならではの繊細さとあやうさを持ち合わせていて、人間らしかった。

 善弥ちゃんは、2022年に、たしかに生きていた。

 書きおろしもたまんねえよ。2022年に善弥ちゃんの新規書きおろしがある世界。素晴らしき日々~不連続存在~だよ。すばひびだし、すばせかだよ!(すばひびでもすばせかでもない)

 宇野さんは半年以上前から善弥をやるにあたり身体作りをしたとのことでした。PC版をプレイして緑川光の声も1日1回は聴いて練習したらしい……すごい……。

 浴衣も作ってもらえてよかったね。あらためて公式ヴィジュアルファンブックを読み直したんですけれど、姫谷が作ってくれたんだね、おそろいの浴衣。

 善弥が蓉司に言っていたことは善弥が言ってもらいたかったことなんじゃないかって宇野さんが言っていたけれど、私もそう思う。

 この回さ~~~~~~~~! 善弥ちゃんが蓉司に緑のシャツを最初うまく着せられなくて、右腕はいってないね~みたいな感じで言ってたのもたまらなかった(語彙力)

 てかさ! VLGのダンスシーンがたまらんのですよ。中指立ててるのも宇野さん案が採用されたらしいです。善弥ルート初回は最後にVLGで蓉司の膝をガッとするのが他の回(といっても2回目は観劇できなかったので3回目との比較でしかないが)より強くガッとしており、たいへんセクシーですばらしかった。

 手脚が長いので身体全体で演技している感じもとても好きでしたね……。善弥ルートあと100回観たい……。

 

 

 ■3/13(日) 睦ルート

 善弥ルートがバンギャの私に刺さりすぎたのだが、睦ルートもたいへんよかった。スプステは日に日に増えていく杉江さんのアドリブが持ち味でもあったのですが笑、睦ルートだとほのぼのしたアドリブと狂っていく睦の対比がうまく噛み合っているんですよね。

 ダンスは杉江さんが個人的には一番好きでした。

 The Hungerのダンスたまんね~~~!!!

 近くのひとたちが杉江さんのファンのかたっぽかったのですが、終演後に哲雄くんのルートも気になるね~配信で観ようかなって話していて原作おたくとしてはとても嬉しくなりました。

 

 

 ■3/16(水) 哲雄ルート

 ここが俺たちのキラルナイトだ。

 木村世治さんがゲストで来るということで、発表後にチケット追加しました。

 メンタル死んで1年くらい休職していたので有給がまじで全然なかったんだけど、なんとか半休で時間作って平日だけど行けた!

 木村さんのソロのライブに行ったことがあってそこでスイプのお話をさせていただいたことがあるのですが、木村さんはスイプを愛してくれていて本当に好きですね……。

 diving deepとthe red roadをおたくのみんなと銀河劇場で聴くことができて、ここが俺たちのキラルナイトだ……と思った。

 

 

 ■3/19(土) 善弥ルート千秋楽

 最前で善弥ちゃんを浴びて美の暴力に気が狂った。※2回目

 16日に善弥ルート追加で観ようと思って会場でリピチケ買おうとしたら、まさかの最前サイドシートが残っていたので(16日昼からサイドシートの追加販売をしていたので運が良かった)買いました……。座席のシートの紙でラインマーカーで色をつけているところがリピチケで売られていた席だったのですが、最初最前がリピチケにあることにびっくりして思わずスタッフさんにこの色ついているところが売り切れている席ですか??? って聞いてしまった。

 ……ので、また最前で観て、また気が狂いました。ハッピー。

 なんか、もう、最高でした。善弥が宇野さんで本当によかった……。

 善弥は完全に機能不全家庭育ちなわけですが、それでも最後まで姫谷は味方でいてくれたんですよね。そのことに気がつかなかったのか、気がつきたくなかったのか、その余白がいい。でも結局やっぱり不完全な肉体をもっているから姫谷とは違う種類ではあるわけで、そのねじれた関係が好きだ。

 この回はちゃんと蓉司にシャツをスムーズに着せられていました! 着せられなくても着せられてもかわいい!!!

 カテコ挨拶の宇野さんが「僕自身だけは絶対に善弥のことを変人だと思わずに」と話していたのも泣けた……。

 

 

 ■3/19(土) 睦ルート千秋楽

 これは唯一友人が来てくれて一緒に観た回です!!! 来てくれてありがとう……。

 この回の杉江さんの挨拶が本当に良くて、終わったあと友人に杉江さんについて教えてもらいました。スタミュを好きな友人が来てくれたので……。

 友人「杉江さんは太陽」

 私は全然杉江さんのことをどんなひとか知らなかったのですが、太陽みたいなひとが演じるにはsweet poolはしんどい世界ではあるよな……。

 最初は杉江さんのアドリブに慣れなかったんだけど笑、段々脳が適応してきて(?)睦だったらきっとこういうときはこういうこと言うかもなあとか、ここはふざけるときもあるだろうなあとか、睦が生きている世界が見えてきて、解像度が上がりました。

 そしてやはりアドリブ入れてほのぼのしているシーンの睦と狂いだす睦の対比が睦ルートは綺麗に表現されていた。後半の狂いだした睦が、劇場で観ていると杉江さんの瞳から光がすっと消えた瞬間があって震えた。

 杉江さんのダンスシーンがすごく好きですね。deadman(というヴィジュアル系バンド)の眞呼さんの動きを思い出す。操り人形みたいな動きがうまい。

 カテコ挨拶の杉江さんのすばらしい挨拶を下記に引用させてください。

 「生きていくうえでどうしようもないことにぶち当たって、それでも進んでいかなきゃいけなくて、必ずしもいい結果に結びつくことばっかりじゃないってことを、演劇でやる意味はすごくあるんじゃないかなと思いましたし、この作品を感じたおかげで、もっと小さく転がっている幸せとか、苦しいなかにもちょっと光っているものとか、そういうものが見えるようになるんじゃないかなと感じてます。この気持ちをすごく大事にこれから生きていきたいなと思いましたし、きっとそういうことを感じとれるかたたちが、この作品のことを好きなんだろうなって思いました。なのでそれが舞台をきっかけにこの作品を知ったひとたちにも、そしてもともと知っているひとたちにもより多く伝わるように、刺さるように演じられたらなと思って頑張りました」

 

 

 ■3/20(日) 哲雄ルート ※これは配信で観ました

 千穐楽のチケットを持っていたので、千穐楽に備えて集中力を温存しておきたいなと思いこの回は配信で観ました。観ましたというか、いま観ながらブログを書いています。

 この回、上屋がなかなか出てこなくてそのあいだを睦がアドリブで繋げていたのが、ああ睦だったらきっと場の空気を読んでこういうこと言うよね、と思って好きだった。

 ダイス占いのシーン、胸がちぎれる。できそこないのシーンの宇野さんも大好きだな……。

 杉江さんと櫻井さんって結構共演していることが多くて、スプステ観ていても本当に仲良しなんだろうなということが伝わってきてよかったです。

 お姉さんとのシーンもすごく好きだな。

 睦との病室のシーンも、杉江さんと櫻井さんだから表現できるものというか、言葉にするのが難しいのだけれどもともと交友があるからこそ伝わるものがある気がしました。

 善弥ちゃんが蓉司に普通にちゅーしていていいですね。(観ながら書いているので感想が散漫)

 善弥ちゃんのラストシーンは何度観ても心に来るものがありますね……。

 屋上のラストシーンは千穐楽でもボロ泣きしました。

 村田充さんのカテコ挨拶以上のことを私は書ける気がしないので、村田充さんのすばらしい挨拶を引用させてください。

 「日々、悲しい報せを受けたり、驚愕の出来事に見舞われて、心が折れることもありますが、このsweet poolという作品のキャラクターたちのようにですね、力強く、懸命に生きなくちゃなあと今は思っています。みなさんの毎日が、素敵な時間であふれることを心より願っております。どうか、生きてください」

 

 ■3/21(月) 哲雄ルート千穐楽

 なんかもう、最初からずっと半泣きで観ていて、最終的に隣のおたくと一緒になってずっと泣いてた。

 ナタデココの缶ひっくり返して床に落ちたナタデココを拾って食べる善弥ちゃん好きだったな。あとチャックのシーンちゃんと確認できてえっっっっっろ!!!! となった。姫谷と善弥ちゃんの関係ほんとうにさいこー-------!!!!!!!

 Miracles mayの最後に善弥ちゃんが微笑んでいることに初めて気がついて、ああ善弥ちゃんはきっと幸せだったんだな、幸せになれたんだなと思って泣けた。

 カテコ挨拶で宇野さんが「みなさんのご多幸をお祈り申し上げます」みたいなことを言っていて、ひとの幸せを願えるひとが好きだな……と思った……。

 私は原作だと哲雄と蓉司のTRUEルートが至高というタイプの人間だったのですが、スプステでは善弥ちゃんが好きだった……2022年に善弥ちゃん書きおろしシナリオが来るっていう衝撃もあったんですけど、本当に宇野さんの善弥ちゃんは人間らしかった。

 カテコもおたくのみんなとスタオベしたし、なんかこう、おたくのみんなたちと銀河劇場でスプステを観ることができて本当によかった……。

 カテコ前に哲雄が着替えるのを忘れていてかわいらしくてよかったね!笑

 帰るとき16時くらいで、ちょうど日が暮れていく美しい時間帯で、天王洲アイル駅でMiracles mayを聴いた。ホームの向こう側に蓉司がいるんじゃないかと思った。

 無意識に最寄り駅の1つ手前の駅で降りそうになっていて、哲雄じゃん、と思った。

 わたしたちはとても美しい景色を、2022年3月に観た。

 不安なことが多い世界で生きていかなきゃいけなくて、縋るものもなくて、でも、わたしたちはとても美しい景色を観ることができたから、きっと生きていける。

 sweet poolに関わっていただいた方々、スプステに関わっていただいた方々、sweet poolを愛してくれた、sweet poolに出会ってくれたすべてのひとたちに感謝を伝えたいです。

 10年間私が大切に愛してきたsweet poolから、もしかして舞台が終わったら卒業しなければならないのかもしれないという不安もあったのだけれど、すばらしい舞台として昇華していただけて、私はこれからもずっとsweet poolと、スプステと、sweet poolと私がともに過ごした思い出を大切にして生きていける気がしています。永遠なんてないけれど、せめて生きているあいだはそばにいよう。

 

 

 ■余談

 ヘリックスのチケット、とりあえず1枚は取りました……。(宇野さんと杉江さんが出ている……)